
朝起きて一番に目に飛び込んでくるのは馬のお尻
カラカラに乾いた喉と共に目覚めた今日はベルリン最終日。
一刻も早く喉を潤さんと猛スピードで身支度を整え、
レセプションで購入したオレンジジュースを一気飲み。
その足で郵便局に梱包用の箱を買いに行きました。
移動が多いからと荷物を少なくしたのですが、
やはり大きなスーツケースにしておけばよかった。

ホテルの人に教えてもらった Friedrichstr. 駅内の郵便局で、無事購入。
ガイドブックによるとこの近くで“博物館島マーケット”が行われているというので
そちらの方に向かって歩いてみることにしました。
が、場所は合っているはずなのに、何も無い。
移転したのか、私が何か間違えているのか。
まあとにかく荷造りのために一旦ホテルに戻ろうと思ったら、
途中でインド料理レストランの店頭に、
「Chicken Curry mit rise mit salat €5」
の文字を発見。チキンカレー! ごはん! なんて魅力的 !!!!!
前夜ビールだけで過ごしたこともあり、お腹ペコペコです。
さて、ビールと共に運ばれてきたカレーセット。
おかーさーん、やっぱり量が多すぎたよ!
美味しいのですが食べても食べても減る気配がありません。
さらにインディカ米(?)って、ちょっとパサついている分よく噛むからか、
胃の中で水分を吸収するからか、とにかくお腹が猛烈に膨れます。
さすがの私も残さざるを得ませんでした。すみません。
食後に出された一口サイズのマンゴージュースが絶品でした。
で、部屋に戻って不要な物などを荷造りし、再び郵便局へ。
この辺りからなんだか体調がおかしくなり、並んで順番を待つのも辛くなってきました。
やっと窓口の前に立つと、親切な職員さんが
「別の箱に詰め替えた方が送料が安くなる」と教えてくれたので
新たに箱を買い直し、駅前のベンチで再荷造り。
段々嫌な汗が流れ始めて、少々危険を感じたのでひとまず売店で水を購入したのですが
なんと0.75リットルをほとんどすぐに飲み干してしまい、
それでも喉の乾きがおさまりません。そしてひどい目眩。
「もう駄目だ…」と思ったその後、
気付けばベンチで1時間程熟睡していました。
荷物も我が身も無事でしたが、今思い出してもおそろしい。

少し気分が回復したので荷物を発送し、Uバーンに乗り込みました。
目指すはユダヤ博物館 Jüdisches Museum Berlin。
最寄りの Hallesches Tor 駅とその前に建つ円形の集合住宅、
中心の広場のバランスが美しい。
なんといっても最終日、気合いを入れてなんとか歩きます。
ユダヤ博物館はポーランド生まれで今はアメリカ国籍を持つ Daniel Libeskind 氏の設計。
なんでもこの建物の複雑な形はドイツ人とユダヤ人の関係を表しているとか。
不規則な構造、途切れては新たに広がる空間、狂うバランス感覚。
「The Holocaoust Tower」という狭く閉ざされた部屋は、
かろうじて差す光は決して手の届かない遥か頭上に、といった作り。
歴史の重みをひしひしと感じる場所です。
他に印象的だったのは、屋外にある、49本のコンクリート柱の並ぶ「The Garden of Exile」。
傾いた地面の上を歩いていると得も知れぬ心細さにおそわれます。



この博物館はもっとちゃんと見るべきだったのですが、
また体調が悪化してきたので途中で切り上げることにしました。
これが今でも悔やまれます。
駅前まで戻って、本日数回目の胃薬を飲んでベンチで休憩。
少し風が出てきて、やっと少し生き返った気分。
耳を澄ますとあちこちからドイツ語が聞こえてくるのですが、
やはり何度聞いても「ア、ソウ(Ach so:正確には「ゾウ」らしい。よく使われる相づち)」「チューッス(Tschüs:くだけた“さよなら”)」が日本語にしか思えず愉快です。
この暑い中真っ黒なスーツに真っ黒なサングラス着用のおじさんが、
肩に大変立派な青いオウムを乗せて目の前を通り過ぎました。
背中にはくっきりオウムのフンの跡が付いてました。


寛大な心と厳格な心と
少し楽になったので、今度は「虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑 Denkmal für die ermordeten Juden Europas」へ。
ポツダム広場近くに広がる約19,000㎡強(!)の広大な敷地に、
2,711(!)もの石碑が並びます。離れて眺めても圧巻だけれど、
中を歩いて見るとまた感じ方が変わります。
高低差のある石碑の作る影や、通路の向こうにふと現れてはまた消えていく人々。
ユダヤ博物館の外庭と同様に何か心細い気持ちになります。
今私は、虐殺された人々のお墓参りをしているのでしょうか。



しばらくそこで過ごした後、地下の情報センターが閉まっていたので
そのままポツダム広場へ向かいます。
映画「ベルリン・天使の詩」では、登場人物ホメロス翁が、「ここがあのポツダム広場か?」(うろ覚え)と荒涼とした風景の中でつぶやいていました。
その映画でしかこの地を知らなかった私も言います。
「ここがあのポツダム広場か?」

まだまだ周辺に空き地は多いものの、立派なビルがてんこ盛り。
その中心・ソニーセンターの広場で腰を下ろします。
大変賑わっており、ノートPCを広げている人多数。無線LANスポットなのでしょうね。
よちよち歩きの女の子がボールを蹴って遊んでいます。
あらぬ方向へ行ってしまうボールを、
警備のおじさん、道往くビジネスマンや観光客らしき人たちが
優しく蹴り返してあげていました。微笑ましい光景。
この日一番なごんだ時間でありました。



ホテルに戻る前に冷房で体調を整えようと、
またもや大型書店のドゥスマンへ。やっぱりここはパラダイス。
次に使う機会があるかどうかはさておき、
Lonely Planet のフランス語&ドイツ語旅行会話集を購入しました。
「ドラッグはやりません」なんていう会話例があって、無駄な知識がつきそうです。
あと、つい買ってしまったのがワールドカップ2006コーナーに
山積みされて絶賛大安売り中だった緑色のTシャツ。
シンプルに「BRING MICH ZUM RASEN!」と書かれてあり可愛いです。
“私を野球に連れてって(Take Me Out To the Ball Game)”のサッカー版でしょうか。
その後はあまり食欲もないので、ホテル近くの小さな食料品店で
ビールと水と一見海老のオリーブオイル漬けのようなものを購入。その名も「Surimi」。
そのまんま魚介のすり身なのですが、オイルと酢がきつすぎて味がよくわかりません。
ベルリン最後の夜は、こうして地味にふけていきました。



点けると死ぬ程熱くて暑い禁断のライト